少年との出会いと約束

1つの出会いと約束があります…

前十字靭帯断裂からもうすぐ一年が経とうとしている。

今があるのもたくさんの人の出会いと助けのお陰だと。

本当に感謝しています。

ほぼ一日中病院でのリハビリ。

色々な方の支援でリハビリさせてもらえる。

あの空間は特別なものだった…。

もちろん病院なので、様々な症状を持った人がそれぞれの理由でいる。

そんな中、少年と出会えた。

男の子で小学校6年生。

身体には点滴のようなものと機械が付いてたけど、いつも笑顔で可愛い子だった。

お母さんと一緒に毎日ほぼ同じ時間帯にリハビリ来てて、気になってたんだよね。

でもまぁ、思春期?お年頃?だし、恥ずかしがっててさー、あんまり喋ってくれないんだよね。

でもある日、確か…親子でバスケの話をしてたのを盗み聞きして…

「バスケしようと?」

が最初の会話だったかな…。

体がすごく硬くてさ、ストレッチいっぱいさせられてたなぁ笑

実習生の子達も参加させられて、リハビリの最後はみんなで腹筋を追い込まれてたなぁ笑

先生も冗談で…(俺がいつもずっと腹筋やってたから)そうくんも、徳永さんみたいに腹筋バキバキにしなきゃね…笑なんか言ったりして。

俺もね本当はたくさん話とかしたかったんやけど、やっぱりそこは小6の男子…なにかと、喋ってくれることも少ないよね!?^^;

やけんさ、俺決めたっちゃんね、

彼のリハビリが終わって病室に戻る前にハンドシェイクしようって。

ハンドシェイクっていうのは、

よくNBAの選手たちがよくやってるもの。

コートに出る前とかに、カッコいい挨拶みたいな、気持ちを入れたり、気分をあげたりする時にする。

一緒に考えて、手をさ3回ぶつけて、ぎゅっと握って拳でゴツン。ピストルバンバン!

それで2人とも笑顔になれたし。周りも笑ってて良い雰囲気だったよね。

どんな日でもいつも帰り際には俺のところまで来てくれてハンドシェイク!

俺たち2人だけの合図!絶対に欠かさずやったよね☆

バスケしたくても、今はあまりバスケできてない彼に何かしてあげれないかなぁって。

そうだ!プレゼントをあげよう!

いつものようにハンドシェイク終わって病室に戻った彼を、先生の助けも借りて、また呼び出してもらって…

「サプラ~イズ!!」

昨シーズン着ていたピンクのユニフォームをプレゼント🎁

想いと言葉も綴りました。

後からお母さんから聞いた話…

かなり嬉しがってくれてたって☆自慢してくれてたのかなぁ。

そうそう、それからもリハビリ室で会っては、最後にはハンドシェイク。でも、ちょっとまだ足りない。変えよう!

拳をゴツンとぶつけ合った後に俺がパス出す(エアーだけど)から、ソウは3Pシュートを打つ、俺はその行方を目で追って…入った!!

ソウが両手を使って指で3を作ってその手にフッと息を吹きかけて、腰に戻す(カーボーイが拳銃をしまうイメージ🔫)

まるでバスケの試合をしているのを想像して。照れ臭そうにやっとったよね。

あとね、お母さんいつもニコニコしてた^^

思春期やし、会話も少なくなるのかなぁっていうお年頃の心配も吹き飛ばして、うまーく言葉を息子と交わしてたなぁ。

お母さんすごいなぁと先生とよく話してたな。多分、2人の関係性がうまくできてて、ちょうどいい感じになってるんだって。

あ、そうそう嬉しいことがあった!

小学校の修学旅行があるらしく、行ってきます!って、4日ほど病院とはバイバイ!

行く準備してる時、楽しそうやったなぁ。

いつも病室は暇って言っとったけん、そりゃあ友達と過ごせたり、話せたりできるのは幸せよね☆

そして修学旅行から帰ってきて、リハビリ室で、

「ハイ、これ!お土産です。」

…そんな…嬉しすぎるやんけ。

すぐカバンにつけたよ。

でもね、リハビリも来る頻度が少しずつ減ってきて…

ある日、車椅子で来たんよね、

何も聞けなかった…

先生がね、

「そうくんね、下半身が動かなくなってきてるって…」

少し前までは歩いて来てたのに。急に。

俺もなんて声かけたらいいのか…

元気か?って…ただそれだけ…

何も言ってあげれなかった…

悔しかった、辛かった、

でも、お前が一番…

それから会っても、なかなか

なんて声をかけていいかわからんやった。

車椅子バスケの話もした、プロになってから一回だけ経験させてもらったことあったけん、

あれはすごいよ、焦げる匂いとか、ぶつかった時衝撃がつよいとか、でもバスケしとるけん、手の感覚は同じよ、とか。

…何とか、大丈夫!絶対大丈夫!いつか必ずまたバスケできる!って伝えたすぎて、

頭で考えてはすぐ言葉にして…

伝わってたかな。伝えれたのかな。

約束もしたよね?

だいぶ自分も走れるようになってきて、やっと少し希望が湧いた時に、ちょうど会って…

“俺さ、絶対復帰するけんさ、そうも絶対見に来てよ、招待するけん”

しっかりと頷いてくれたね。

俺とお前の

約束…。

先日…そうは天国へと旅立っていきました。

白血病でした。

あまりにも若すぎる死でした。

悲しいです、苦しいです、辛いです、

ただ涙が止まりませんでした。

そうの笑顔が忘れられません、忘れたくありません。

でも、ご家族の優しさで、

最後にそうに会えました、意識はもうなかったかもしれないけど、あったかく強い手を握って話しかけました。もちろん、ハンドシェイクも。動かなかったけど、気持ちは繋がってる。

耳元で2人だけの約束も確認しました。

その翌日、家族に囲まれて亡くなったそうです。

12年という

彼なりの素晴らしき人生を歩んでくれた。

そして、その一瞬に彼と出会えた。ありがとね。

俺は友との約束を果たさないといけない。

感じるよ、今も。いつまでも。いつででも。忘れないよ。

こんな弱い俺に力かしてね……。

彼の魂は必ず、復帰したコートに戻ってくると信じて。

ありがとう

また会おうね、そう。

Posted on by 徳永林太郎 in BLOG

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